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Photo : Official site of the Atlanta Falcons

事前の予想通り、厳しい戦いとなったSEA戦。
序盤の劣勢から盛り返して前線したものの、あっけない幕切れが待ち受けていました。

連敗は避けたかったホームでのSD戦でしたが、OTまでもつれた激闘の末、掴みかけた勝利を自ら手放してしまいました。

2試合とも共通点の多い敗戦でしたので、まとめて敗因を振り返ります。 

 

オフェンス

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Photo : Official site of the Atlanta Falcons

オフェンスはSEA戦では24得点、SD戦では30得点でした。
連勝中と比べて得点力が落ちているわけではありません。

勝負を分けたのは試合終盤のターンオーバーでした。


・落ち着きを無くすライアン
ここまで冷静沈着な判断と、正確なスローでオフェンスを牽引してきたライアンでしたが、この2試合ではいつもの冷静さを失ってしまいました。

SEA戦では、ワーグナー、ベネット、エイヴリルらの変幻自在なパスラッシュと、激しいヒットによって、常にプレッシャー感じながらのプレーを強いられました。
SD戦では、スーパールーキー・ボサとイングラムを筆頭にポケットを崩され、ターゲットを探す時間がありませんでした。
試合展開の面でも、序盤にリードはしたものの、中盤〜終盤に同点あるいは逆転され、勝利のためにオフェンスの得点がどうしても最終盤で必要な場面を迎えました。
「自分が決めなければ」という気負いがあったのか、どちらの試合も強引なパスを狙った結果、痛恨のインターセプトを喫して、そのまま敗戦。

これは、後述のとおりOLの責任もあるので一概には言えませんが、ライアンが未だに超一流QBになりきれない部分だと思います。
ここ一番の場面で、最も避けなければならないミスを犯してしまう。
マクルア、ゴンザレス、ホワイトといったライアンを支えたベテランはチームを去り、今やライアン自身がチームの大黒柱となっています。
そのライアンの動揺が他のメンバーにも伝わり、細かい綻びから、致命的なミスに繋がっている気がします。

超一流のブレイディやP・マニングは、苦しい局面でプレッシャーがかかる場面でも、チームを落ち着かせ、試合を壊しません。
円熟期に入ってきたライアンには、その能力を十分に活かすための精神力を身に着けて欲しいところです。


 負担が集中するフリオ
スーパーエースであるフリオにボールが集中する状況は、ターゲットを探す時間がなく、プレリードでオープンになるレシーバーを判断できていない証拠でもあります。

SEA戦ではランが50ydに抑えられ、地上戦の援護はなし。
SD戦でも序盤はランが全く機能せず、前半だけでフリオのレシービングヤードが100を超えました。
フリオ以外に2キャッチ以上を記録したのが、SEA戦ではまだ5人いましたが、SD戦では3人となり、フリオへの一極集中が明らかです。
シーズンも中盤にさしかかり、好調を支えてきたRB陣のランとパスも対策されつつあります。

いまやリーグ1、2を争うモンスターレシーバーへと成長したフリオに対する、他チームからのマークは当然厳しくなっています。
それでもスタッツを残してしまうところが、モンスターたる所以なのですが、システムではなく個人技に頼る攻撃には脆さがあり、ここぞの場面で機能しなくなってしまう危うさがあります。

フリオがいい意味で目立たなくなるのが、オフェンス全体としては理想的な状態でしょう。
ライアンの判断ミスもありますが、オフェンスのプレイコールもここ2試合はやや単調でした。
鬼才カイル・シャナハンであれば、そんなことは百も承知でしょうから、オフェンスの組み立ても含めて修正してくるでしょう。

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Photo : Official site of the Atlanta Falcons 

・攻撃のリズムを作れないOL

連勝の最大の要因は安定したOLだったのですが、連敗のきっかとなったのもOLの低調なパフォーマンスでした。
アウェーのSEA戦では、クラウドノイズに連携を乱されたのかパスプロは崩壊し、被サック4、QBヒット13。
試合終盤では、信頼できなくなったのか、ライアンが崩れてもいないポケットから自ら飛び出してしまう場面もありました。
SD戦ではホームにも関わらず反則を連発。
フォルススタート4回、ホールディング2回で計40ydを失いました。
特に4Qのインターセプトの直前には2連続フォルススタートがあり、結果として無理なパスを投げざるを得ない状況に追い込まれました。

チェスターとリヴィトリの両Gは、昨シーズンにも要所での反則があり、それがシーズン後半の失速にもつながりました。
今シーズンは新加入のCマックの指揮もあってか、反則は減っていましたが、やはりリーグNo.1のクラウドノイズが待ち受けるシアトルは鬼門でした。

幸いなことに、ここまで怪我人もなくメンバーを固定できているので、修正に時間はかからないでしょう。
逆にOLのパフォーマンスが安定しないと、昨シーズンの失速を繰り返すことになってしまいます。


ディフェンス

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Photo : Official site of the Atlanta Falcons

一方のディフェンスについては、あまり心配をしていません。

DLはクレイボーンが本来の実力を発揮し始め、逆サイドのビーズリーもコンスタントに結果を残すようになってきました。
何よりも楽しみなのは、ジャレットがインサイドラッシャーとして覚醒しつつあることです。
パワーとスピードを兼ね備え、最後までプレーを止めない姿勢も素晴らしいです。

ジョーンズ、キャンベル、ニールのルーキートリオも着実にスナップ数を重ねています。
さすがにまずいプレーもありますが、それと同じくらい良いプレーもあります。
ニールはボックス内のランサポートからTEのカバーまでこなし、多くのプレーに絡んでいます。

DQのディフェンスは、ランに対しては8メンボックス、パスに対してはソフトゾーンでロングゲインを防ぎます。
そうして相手のプレー数を増やし、ここぞのシチュエーションで激しいプレッシャーをかけて、ミスを誘う。
そんなコンセプトに思えます。
現状のファルコンズでは、この勝負をかけるプレーで決めきれず、ずるずる進まれてしまう展開が多いです。

もともと優秀な両ワイドのCBに加え、若手の台頭と機能し始めたDLが噛み合い始めると、一気に化けるのではないかと思っています。


NextGame

次週はホームでのGB戦。
連敗中のチームとしては、とても相手として嫌らしい強豪です。
しかし、GB側には怪我人が増えてきていて厳しい状況。

去年の急降下の再現にならないためにも、なんとかホームで勝利して持ち直してほしいところです。