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現地時間の3/20~23に行われたNFLリーグミーティングで、今シーズンのルール改正などについて話し合われました。
選手の安全をより重視したルール改正、IRに関する規定の変更などが決定されました。 

 

2016シーズンに向けたルール改正

以下の7項目が改正されました。
(参照:NFL passes automatic ejection rule for 2016 season)
  1. エキストラポイントのキック地点が15ydに変更(昨シーズンは試行期間)
  2. サイドラインからのみでなくコーチボックスからも選手のヘッドセットへ通信可能に
  3. チョップブロックの全面禁止
  4. ホースカラータックルはジャージのネームタグより上部を掴んだ場合にも適用
  5. タイムアウトが残っていない状況でタイムアウトをコールした場合はディレイオブゲームの反則
  6. イリーガルタッチの罰則が5yd罰退からロスオブダウンへ変更
  7. ポゼッション交代後のダブルファールによる複数の施行地点の廃止

1については、今までオートマチックだったPTAキックが確実ではなくなり、より試合から目が離せなくなりました。
リーグとしてはよりエキサイティングになる方向を目指していますので、当然の改正でしょう。

2の改正によって、オフェンス、ディフェンスのプレイコールをするコーチが必ずしもサイドラインにいる必要はなくなりました。

3と4は選手の安全を重視した改正です。
チョップブロック(2人以上の選手が相手の上半身と下半身を同時にブロックすること)は今まではタックルボックス内では合法でしたが、今シーズンからは全面的に禁止となります。
この改正によって、特にゾーンブロッキングを導入しているチームでプレーに影響が出るでしょう。
ファルコンズに加入したマックも「影響がある」とコメントしています。

5については、今まで罰則がありませんでしが、今シーズンからはディレイオブゲームの反則が適用されます。
実際に昨シーズンWeek15のNOvsDET戦で問題となるシーンがありました。
状況は2Q残り3秒、NOが敵陣1ydまで攻め込んだ場面で、NOがタイムアウトを使った後、4thダウンのプレーを始める直前に、守備側DETのフィールドプレイヤーがチームタイムアウトが残っていないにも関わらず、タイムアウトをコールするジェスチャーをしました。(DET側のサイドラインでタイムアウトをコールしたかどうかは確認出来ず) 
このジェスチャーを見たサイドジャッジが笛を吹き、スナップはされたもののプレーが無効になりました。
主審はDETのタイムアウトが残っていないことを確認し、そのまま4thダウンのプレーをやり直しさせました。
プレーの結果は、プレー中のNOの別の反則によりロスオブダウン、時間切れのためそのままハーフタイムとなりました。
恐らくDETの選手の勘違いによるミスで、試合の大勢にも影響はありませんでしたが、仮にこれが試合終了間際で逆転がかかる場面だったとすると、5yd罰退するかどうかで状況は大きく変わってきます。
この場合、今シーズンからは罰退をしたうえでプレーのやり直しとなり、意図的に相手のプレーを妨害することもルールで禁止されることになります。 
ルールの抜け道をふさぐ良い改正だと思います。

6、7については割愛。

また、以下の2つの改正が試験的に導入されます。
  1. アンスポーツマンライクコンダクトの反則を同一選手が2回犯した場合は退場
  2. タッチバック後のプレー開始地点を25ydへ変更
1は昨シーズンのOBJとノーマンの喧嘩のようなトラブルを避けるための改正です。
今まで審判の主観だった退場の判断に一定の基準ができたことは、良いと思います。

2の改正によって、タッチバックを蹴るリスクが高まり、キッカーやパンターは今までよりもコントロールされたキックを求められることになります。


その他、各チームから提案された項目はすべて否決されました。
その中には、WASが提案したプレシーズンゲームでのOTの廃止や、BALから提案された無資格捕球者に関するルール改正が含まれています。
BALの提案は、無資格捕球者の背番号をつけた選手が、有資格捕球者としてフィールドに入るときは有資格の背番号を(ビブスなどで)着用する必要があるというものです。
この提案は運用面の課題をクリアする必要がありますが、ぜひとも導入して欲しいと思っています。
NEが有資格・無資格のルールを逆手にとって守備を混乱させたプレーを披露して話題になりましたが、BALは同じ作戦で主審に有資格の報告をしたにも関わらず、主審の見落としによってプレーが反則とされた苦い経験があります。
相手を化かし合うことはフットボールの醍醐味の一つではありますが、見落としやすく不公平な判定を誘発してしまうルールは、よりミスが起こりにくい方向へ改正されるべきです。

同じくBALはサイドラインのタブレットでインスタントリプレイが見られるようにする改正を提案しました。
この提案はいったん否決されましたが、5月のリーグ会議で再び議論されることになったようです。

復帰可能IRに関する規定の変更

今まで各チームは、シーズン中に1人だけIR入りした選手をシーズン中に復帰させることができました。(復帰可能IR)
ただし、この復帰可能IRに入れる選手はその選手がIR入りする際に指定しなければなりませんでした。
これが今シーズンからは、IR入りした後でも、選手の回復状況をみて復帰可能IRに指定するかどうかを決めることができるようになります。

  • 旧:復帰可能IRかどうかをIR入りの際に指定。指定された選手は6週間後から練習復帰可能、練習復帰から2週間後に試合出場登録可能。
  • 新:IR入りしている選手の回復状況をみて復帰可能IRへ指定することができる。指定された選手はIR入り6週間後から練習復帰可能、練習復帰から2週間後に試合出場登録可能。
ただし、指定できる選手の数は1人で変更はありません。
6週間で復帰できるかどうかをIR入りの時点で見極めるのは難しく、逆にせっかく指定した選手の回復が間に合わずに復帰可能IRを無駄に使ってしまったというような事態も避けることができます。
今まで虎の子だった復帰可能IRですが、今シーズンからはより柔軟に対応できるようになりました。

性的差別質問に関するペナルティは無し

リーグミーティングのその他の話題として、ファルコンズの性的差別質問に関するコミッショナーのコメントがありました。
NFLコミッショナーのR.グッデルはDQと面談をした上で、これ以上のリーグとしての処分を行う予定はないとコメントしています。
チームが既に謝罪の声明を発表していること、問題の発覚後にコーチとスタッフに対する教育の機会を設けたことが考慮されたようです。